全日本同和会は、同和問題の早期完全解決に取り組む団体です。

【全国・関東東北ブロック】活動報告

【全国・関東東北ブロック】活動報告

「第15回 全日本同和会 関東東北連合会 研修大会」開催



 令和1年11月15日、千代田区憲政記念館で、「第15回 全日本同和会 関東東北連合会 研修大会」が開催されました。関東・東北ブロック各地から500名を超える会員・関係者が参集、東京都連からも藤吉会長はじめ都連役員や企業担当者・会員など127名が研修会に臨みました。
 石戸関東東北連合会副会長(茨城県連会長)・北島東京都連合会事務局次長による司会で始まった研修大会の冒頭、桑原関東東北連合会副会長(神奈川県連会長)は開会の言葉として、先に台風15号及び19号にて、甚大な被害に遭われた千葉県連・北関東の会員に対して、お見舞いと哀悼の意を述べると共に、ご出席頂いた来賓へ謝辞を述べ、大会開催を宣言しました。
 続いて、大会運営実行委員を代表して藤吉関東東北連合会副会長(東京都連会長)が、開催の迫る東京オリンピック・パラリンピックに込めた熱き思いを語りつつも、未だ人権が脅かされている事に触れ、先人達が人権を獲得するために闘ってきた歴史の中で、私たちは先人達の声を後ろ盾にし、更に運動を前進させなければならないと、研修大会を開催する意義を訴えました。
 山本関東東北連合会会長(埼玉県連会長)は会長挨拶の中で、あらゆる差別を許さないという毅然とした態度で、企業、行政、一般市民の皆が一体となり、教育・啓発を今以上に積極的に行わなければならないと訴えました。
 ご来賓からは、全日本同和会松尾全国会長をはじめ、平沢勝栄衆議院議員、亀岡偉民衆議院議員、野中厚衆議院議員より祝辞を賜りました。
 祝電披露に続いて、基調講演が行われました。講演は二部に分けて行われ、第一部では「新しい人権問題と同和問題〜古くて新しい同和問題」と題して、松本文明衆議院議員によって講演がなされました。
 松本議員は3回、同和問題に直面したことを披露。1回目は自身の結婚において双方の実家で相手が部落出身かどうかを確認したこと、2回目は都議会議員時代に同和利権が横行したため、えせ同和と本当の部落問題を分けて必要な施策を執るよう東京都へ交渉したこと、3回目は衆議院議員なってから、地元の住職から同和の悲惨な部落、そこに生まれた人の悲惨な人生等を、しっかり国へ伝えなければいけないと求められる大きな経験をしてきた。特措法が終了しても部落差別は残っている。歴然とした事実を本当に解決するために平成28年12月、「部落差別の解消の推進に関する法律」を制定した過程を丁寧に解説されました。結びに、部落差別解消推進法は精神規定ですが、これをどう具体化していくかは、今後、皆さんが「これからこういうことをしてくれれば同胞相和し、同胞一和、お互いに日本人だ、差別なんて無い」という空気を作っていけるかにかかっています。是非皆さんの自治体に、こういうことをやって欲しいという提案をしていただく活動が重要です、と結びました。
 講演第二部では「『部落差別の解消の推進に関する法律』の今〜各県の現状に答えて〜」と題して、山口壯衆議院議員が行いました。
 自民党・部落問題に関する小委員会委員長として、この部落差別解消推進法の立役者である山口議員は、今後実態調査を踏まえ、更に必要な施策を講じていくとしました。また神奈川・山梨・東京・茨城の4都県から山口議員に、本法律への実態調査の進捗状況や今後の取り組み、各地域で抱えている問題等について質問。これに対し山口議員から政府の現状を回答がなされました。
(別欄に、Q&Aを掲載しています)
 その後、青空球児・好児さんによるトークショーが行われ、絶妙な掛け合いで会場を和ませました。
 閉会の辞で古長関東東北連合会副会長(福島県連会長)が「今研修会では、同和問題の歴史、新法の進捗、今後に向けての示唆等に重点が置かれました。これを各県連に持ち帰り、新たな運動の糧とし、着実な成果につなげてゆきましょう」と述べました。
 終わりに、海江田関東東北連合会副会長(千葉県連会長)によるスローガン採択、そして会場全体で「同和問題解決を目指そう!」とシュプレヒコールが高らかに唱えられ、研修会は終了しました。


山口 壯衆議院議員による質疑応答

■神奈川県連合会からの質問
Q  「部落差別の解消の推進に関する法律」が施行され、相談体制の充実等について明記されており、自治体にも何らかの対応が求められていると思います。しかし、国からは、同法第3条に規定された『必要な情報の提供、指導、助言』の具体的なものはほとんどなく、第4条に規定された相談体制の充実についても、動きがないのではないかと思います。そうした第3条・第4条に基づいた国の施策には今後も含めて、どのように取り組んでゆくのでしょうか。また併せて同法に関し、財政的な支援については、どのように考えていらっしゃいますか。
A 同法第3条に明記された『必要な情報の提供、指導、助言』についてですが、4つの調査(法務局・地方公共団体・教育委員会・一般の方への対面調査)に関する情報をまとめている最中です。また第4条の相談体制の充実について目に見える状態ではないということだと思いますが、現在法務局や人権擁護委員の方々が人権に関して色々仕事をしているなかで、この法律の重要性をよく認識しており、その裏返しとして研修を重ねているプロセスの最中です。今は、そういった所から始めているところです。財政的な支援については、2002年で区切りを付けています。しかしアンケートの調査や実態調査等を踏まえ、今後何か必要だと考えた場合、様々なオプションも考えられるかと思っています。

■山梨県連合会からの質問
Q ①相談業務についてプロセス中であるとのことですが、具体的には、電話だとかメールだとか対面だとか、どの形が一番相応しいとお考えですか。
②部落差別の問題で相談するわけですが、他の人権問題についても積極的に相談が出来ますか。
③相談全般に関しまして、専門家の派遣だとか相談出来る体制についてお聞かせ下さい。
A 電話なりメールなり或いは直接かどうかということですが、全国の法務局・地方公共団体を含め、どのような方法でも受付するとのことですから、フレキシブルに考えて良いと思います。また人権問題であれば、人権擁護委員や法務局も含め、人権全般に幅広く対応しています。専門家につきましては、必ずしも部落差別の専門家ではないけれども、経緯も含めご存じの方がそれぞれの地域にいると思います。そういう方々と連絡を取り合い、法務支局もやっていますから、そういう方を派遣して欲しいということであれば、法務省にご相談頂ければと思います。

■東京都連合会からの質問
Q 国では実態調査を行うとしていますが、東京都においてはその動きが見られません。調査は各地方自治体で行うものと承知していますが、具体的にはいつから行われるのでしょうか。また調査方法について、どのような内容で行われるのでしょうか。そしてその結果は、公表されるのでしょうか。調査の結果、新たな施策が行われるのでしょうか。
A 6条の実態調査について、東京都ではその動きが見られないとのことですが、東京都も含め全国の地方公共団体が差別事例を把握している最中です。東京都においても必ず今、やっております。いつからというご指摘ですが、既に行われており、取りまとめている最中です。内容的には、どういう事例があったのかという事例の把握をしています。もちろん、結果は報告するつもりで、法務省も取りまとめています。それを踏まえて、新たな施策として何をすべきかは、法務省、政治の世界ですり合わせて、着実に前へ進んでゆきたいと思っています。

■茨城県連合会からの質問
Q 第5条に『教育及び啓発』というものがあります。その中の第1項にある『必要な教育及び啓発』について示されています。国としては文部科学省が担当だと思いますが、学校等に対してはどのように教育・啓発を進めてゆくのか、教えて下さい。
A 『教育及び啓発』と書いてある以上は、その学校に於いてどのようにそれぞれがなされるか、ということです。広報・啓発という意味では、法務省中心にチラシなりリーフレットという物は作っています。しかしそれで充分だとは誰も思っていません。そういう意味では、最近はユーチューブチャンネルに動画を作ったり、ビデオも作ったりされています。ただ教育の現場でどのように共有してゆくかということについては、少し時間を頂ければと思います。まだそこは決まっていません。これは、実態調査を踏まえて、どのように共有すれば一番良いか、これから決めてゆきます。

開会の言葉 桑原関東東北連合会副会長/神奈川県連会長

大会会長挨拶 山本関東東北連合会会長/埼玉県連会長

運営委員長挨拶 藤吉関東東北連合会副会長/東京都連会長

ご来賓祝辞 松尾全日本同和会全国会長

ご来賓祝辞 平沢勝栄 衆議院議員

ご来賓祝辞 亀岡偉民 衆議院議員

ご来賓祝辞 野中 厚 衆議院議員

講演をされる 松本文明 衆議院議員

講演をされる 山口 壯 衆議院議員

東京都連の質問に答える山口 壯 衆議院議員

会場を埋め尽くした参加者

閉会の言葉 古長関東東北連合会副会長/福島県連会長

スローガン採択 海江田関東東北連合会副会長/千葉県連会長

会場全体でシュプレヒコール

会場となった憲政記念館