人権が尊重される社会の実現に向けて 令和6年度 青年部全国研修会 開催される
7月18日、大阪市で「令和6年度 青年部全国研修会」が開催されました。全国各地から青年部会員や役員が参集し、研修に臨みました。
意見発表では、発達障害やひきこもりなど、個人の特性をよく理解し把握することで人権が尊重される社会が実現出来るとし、全日本同和会の基本理念である「対話と協調」の重要性を改めて再認識しました。
大阪市中央区のドーンセンターで開催された研修会には、都連から古賀会長・東青年部長はじめ、多くの都連役員・青年部員が参加しました。
午前十時三十分、関裕雅全国青年部理事(神奈川県連)の司会で始まった研修会では、髙木剛全国青年部副部長(大阪府連)が開会の言葉で、「差別の現状を払拭してゆくには、教育が必要不可欠であり、国並びに地方自治体の果たす役割が必要です。家庭教育、学校教育、社会教育を一生涯に亘り推進しなければなりません。一方、我々全日本同和会は、同和問題はヒューマニズムの問題であり、民主主義の問題であるという認識のもと、行政と協力・連携を取り合いながら、より一層運動に邁進してゆかなければなりません。そのために我々青年部は、研修や実践に学び、正しい理論を身に付け運動の第一線に立ち、部落差別が現存する限り、これ以上人間の尊厳を踏みにじる社会を形成させないという強い信念を持たなければなりません」と、研修会開催の意義を述べました。
荒井正記大阪府連会長は開催府連会長挨拶で、「昨年8月、国連人権理事会のビジネスと人権作業部会は、日本においては政府から独立した国内人権機関の設置が必要であると指摘するとともに、日本の深刻な人権問題の一つに同和問題を挙げています。国内人権機関の設置は、裁判所とは別に人権侵害からの救済や人権保障を推進するための国家機関の設置であり、同和問題をはじめとするマイノリティに対する差別に取り組む上で、重要な役割を担うからです。理念法ともいえる部落差別解消推進法についても、実効性のあるものとするため、国に対し国内人権機関の設置を求めてゆかなければなりません。こうした運動は、我々の運動の目的である同和問題の解決に大きく寄与します。これらを踏まえ、人間の尊厳と自由、平等を大きくする精神を常に持ち、日々運動に邁進してゆかなければなりません」と奮起を促しました。
全国会長挨拶の中で松尾信悟全国会長は、「同和問題に対しては、インターネットを利用した不適切発言により、差別を助長するような動画発信も増えてきており、差別を抑制するための法整備が急務となります。21世紀は人権の世紀と言われながらも、いじめや虐待など深刻な社会問題が多発しています。全日本同和会は昭和35年の結成以来今日まで『子らにはさせまいこの思い』をスローガンに、運動を推進してきており、これからも創立の原点に立ち返り襟を正し自己の役割と使命感を深く自覚し、同胞一和の精神で、運動を継続してゆかなければなりません」と研修会開催の必要性を訴えました。
関寅明全国青年部部長は挨拶で、「インターネットの発達により、同和問題だけでなく、人権分野全般において人権侵害事案が、陰湿かつ複雑化しているのが現状です。それに合わせて、我々運動団体の取り組み方も変革を求められる時代です。平成28年には部落差別解消推進法を含めた人権三法が施行されましたが、部落差別に特化して条例化しているのは8府県、140市町村に留まっています。行政関係の政策のあり方や付き合い方には、都道府県ごとに特色があり苦労されていると思いますが、一つでも多くの都道府県・市町村で条例化が出来るよう、青年部が中心となって運動することが必要だと思っております。全国青年部が力を併せて運動に励みましょう。」と表明しました。
祝電披露に続き、基調講演へと移りました。
基調講演は、心理カウンセラーの鮎川ヒロアキ氏により、「“生きる”を支え、寄り添うということ」と題し、一時間に亘りなされました。
午後の分では、代表県連による意見発表が行われ、今年度は大阪府連合会と三重県連合会が発表しました。
意見発表を受けて、土肥孝明全国青年部副部長(福岡県連)が総評を行い、「学校や職場をはじめさまざまな場面において差別事案が後を絶たず、虐待や引きこもり、いじめによる児童の自殺、障がいの有無による差別など、さまざまな人権課題があります。また人権問題は、民族、人種、男女、障がい者、高齢者、同和問題と極めて多岐に亘っており、それらを取り巻く背景には、さまざまな問題が複雑に絡み合っています。これらに対し、しっかりとした教育・啓発を今まで以上に行うなど、問題解決を進めることが重要です。全日本同和会では、対話と協調を基本理念とし、『子らにはさせまいこの思い』のスローガンに基づき、差別の無い共生社会の実現に向け、住民・行政が一体となって、差別解消の運動に取り組まなければなりません」と両府県連の意見発表を総評されました。
谷川高廣全国青年部副部長(京都府連)によるスローガン採択の後、千村啓喜全国青年部副部長(東京都連)が、「本日の研修内容を各都府県に持ち帰り、地域の実態に即した今後の運動の糧とし、差別解消へ向けた強い信念を持ち今まで以上に人権意識を高め、より踏み込んだ運動を展開してゆくと共に、組織の強化・活性化を図り、同和問題完全解決へ向け啓蒙啓発に邁進してゆきましょう」と閉会の辞を述べ、研修会は終了しました。
(青年部全国研修会の詳細は、都連発行機関紙「東京あけぼの9月号」に収録されています)