古賀会長 年頭所感
明けましておめでとうございます。
令和7年を迎えて年頭にあたり、機関紙「東京あけぼの」の読者の皆様をはじめ、都連会員の皆様に、日頃より全日本同和会東京都連合会の活動に対しまして、深い御理解と御支援を賜っておりますことに、衷心より感謝申し上げます。
また、行政をはじめとする各関係機関、そして全日本同和会の全国各府県連の皆様には、日頃より御指導と御鞭撻を賜り、心より御礼申し上げます。
昨年は、組織を拡充し新たに多くの若い会員を迎え入れることができ、日頃の同和会活動に加え各研修会にも積極的に参加していただきました。女性部の会員も増え、今後は同和問題を中心に据えつつ、女性やこども、障がい者等の人権やハラスメント問題等の現代社会が抱えるさまざまな問題に取り組むべく組織の各部門の更なる充実を図る所存です。既に新たな会員の中でも特に熱心に問題に取り組んでいる方には役員となっていただき、将来中心的な役割を果たしていただけるよう共に学ぶ機会を数多く設け、真に人権が尊重される社会の実現に向け歩みを進めております。
一昨年は都連設立45周年という節目に当たり、6年振りとなる研修大会を開催できましたが、昨年は新たに多くの若い会員を迎えたことにより、会員の学びの場を多く設けることを優先し、大きな研修会は開催せず、個々の支部や青年部、女性部の学習会を通して会員や役員の研鑽に努めました。人権週間も例年以上に充実したものとなり、昨年問題となった事象・事案に関して各支部で報告をまとめ、数多くの有意義な意見が出されました。
「部落差別の解消の推進に関する法律」が施行されて早8年が経過しましたが、同法は相変わらず理念法のままで、罰則規定が盛り込まれるには至っておりません。東京都には日本全国から人が集まり、様々な分野の仕事に従事し、マスメディアの中心地でもあり、それに纏わる誹謗中傷・名誉毀損と言える書き込みが頻繁に行われております。正に人権侵害と言える行為が洪水のように一部の人たちを襲っております。然るに東京都では未だに「部落差別の解消の推進に関する法律」に基づく東京都独自の条例を制定しておりません。東京都には「東京都迷惑防止条例」があり、様々な犯罪行為とそれに対する罰則が示されており、時代の急激な変化に対応すべく新たな項目が次々と制定されております。世相を反映して追加される迷惑行為(犯罪行為)の項目設定は、まるでモグラ叩きのような様相を呈しております。犯罪行為の認定が恣意的なものとならないように、厳密な技術的対応を余儀なくされた結果であるとは理解できるものの、このような対応だけで人々の心の安心安全を護ることが可能なのか疑問に思うことが多々あります。
同条例の中には嘗ては有用であったものの既に時代に即していないものもあり、真にこの混迷する時代に即した、悩める人たちの救済となる項目の追加、あるいは新たな条例の制定が強く望まれます。現在の迷惑防止条例での保護対象は誰であるのか、保護対象となるのはどのような内容なのかを精査すれば、自ずと現状では抜け落ちている保護対象と保護内容が明らかとなってきます。残念ながら現在の日本においては人権に対する意識は欧米と比べ低いと言わざるを得ません。人権意識や人権運動まで「輸入品」と揶揄されることがあり、実際日本における人権の伸長は外圧によって実現したと言っても過言ではありません。そしてその問題意識や運動は風化しやすいものです。「心の差別」は、「内心の自由」や「言論の自由」を盾に問題視されないことが多く、差別者は詭弁を弄して差別を続けることを止めません。そしてこのような事例に対し関心を持たず傍観する人が多いのが実情です。このような状況は変えてゆかなければなりません。
最近希望が持てましたのは、警視庁が発表した令和6年度「少年の非行防止啓発ポスター」最優秀・優秀作品の中で小学生高学年の部と中学生の部における「インターネットのルールとマナー」に関する作品です。受賞作からは、若い人が肌感覚で現代の人間関係の危機的状況を的確に捉えていること、言葉で傷つけ合うこと、傷つけあるいは傷つけられた人の将来に大きな危惧を抱いていることを如実に感じ取ることができます。我々はこれからの時代を生きる若い人たちに、人としての尊厳が護られる差別の無い社会をつくり残してゆかなければなりません。そのためには我々運動団体がこれまで以上の熱意で人権問題に取り組み、行政の方々にも個々の差別事象・人権事案から目を逸らすことなく真正面から取り組んでいただけますよう強く要請してゆく覚悟です。
最後になりましたが、今年も同和問題完全解決へ向け運動に邁進して行くことを皆様にお誓いするとともに、皆様にとりまして佳き一年でありますことを祈念して、年頭の御挨拶とさせていただきます。
令和七年一月 吉日
全日本同和会東京都連合会 会長