全日本同和会は、同和問題の早期完全解決に取り組む団体です。

【全国・関東東北ブロック】活動報告

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間違ったイデオロギーは封建社会の残滓 令和7年度 女性部全国研修会 開催される

10月16日、京都市で「令和7年度 女性部全国研修会」が開催された。全国各地から女性部会員や役員が参集し、研修に臨みました。
 意見発表では、同和問題とトランスジェンダーの差別についてや、部落差別解消推進法に関する条例制定へのプロセスなど、同和問題に対する発表者の強い主張が発表され、改めて同和問題が抱える差別の根深さを、再認識しました。


 京都市南区の京都テルサで開催された研修会には、都連から飯嶋女性部長、斉藤副部長をはじめ、多くの女性部員とともに、古賀会長や都連役員が出席しました。
 午前十時三十分、髙木弘美全国女性部副部長(大阪府連)の司会で始まった研修会では、中村幸恵女性部全国部長(三重県連会長)が開会の辞を兼ねた挨拶の中で、「20年振りに日本で開催された国際博覧会「大阪・関西万博」において、さまざまな国の文化に触れることが出来たとともに、万博で各国の人がコミュニケーションを取っている姿を見ていると、世界各地で争いが起きている今、世界中の人々が安心して暮らせる日が来ることを願うばかりです」と、国際和平について言及しました。また同和問題については、「依然として根強い差別事象が跡を絶たず、インターネット上では面白おかしく差別を助長する書き込みがあるとともに閲覧することが出来てしまう現状があります。国が制定した『部落差別の解消の推進に関する法律』が出来て来年で10年を迎えますが、罰則のない理念法は、差別解消にはならないのではないでしょうか」と訴え、現状の法律に対し疑問を呈し、研修会開催の意義を込めた開会の挨拶を述べました。
 山本康継京都府連会長は開催地府連会長挨拶で、夫婦別姓や婚姻後の旧姓使用の法制化について言及。「従来の価値観では、男性の姓を使用することが標準とされており、その慣習により女性には職場や行政手続き、日常生活でさまざまな弊害がありました。従来の価値観と現代の社会の動きに乖離があることは明らかで、今後、より柔軟で多様性を尊重した検討がなされています。これは、女性のキャリアや社会活動を継続できる権利を保障するだけでなく、性別に基づく差別や固定観念を是正します」と、女性からの視点で、法制度の見直しを訴えました。また同和問題について、「同和問題は、誤った教育や情報によって無意識のうちに取り付いた固定観念から生じている」とした上「本日の研修で、誤った固定観念を正しい理解への導きとなるよう、今まで以上の啓発活動等を拡大してゆく」と、奮起を促しました。
 全国会長挨拶の中で松尾信悟全国会長は、人権を取り巻く昨今の状況は、依然として社会生活のあらゆる局面において、同和問題をはじめ、女性や子ども、高齢者や障がいのある方々に対し、偏見・差別が存在し、結婚差別や就職差別などの人権差別が今なお根強く存在していることに言及、その上で「近年は、社会情勢の急激な変化や国際化、価値観の多様化、情報化の進展などや、インターネットによる人権侵害、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントといった、人権課題がクローズアップされており、一刻一刻と複雑な変化をする現代社会においては、こうしたさまざまな人権問題への対応も、重要性が高まっている」と訴えた。そして、「こうしたさまざな社会問題の早期解決のためには、お互いが理解しあい、共生社会を目指さなくてはならない」とし、全日本同和会は創設から今日まで「子らにはさせまいこの思い」をスローガンに、さまざまな運動を粘り強く推進してきた。これからも創立の原点に立ち返り襟を正し自己の役割と使命感を深く自覚し、強い信念と高い誇りを持ち、あらゆる差別の根絶、そして解決に向け、一丸となり取り組んでゆかなければならない」と研修会開催の必要性を訴えました。
 来賓紹介、祝電披露に続き、基調講演へと移りました。
 基調講演は、株式会社セレンディピティ代表取締役・美容師・子ども食堂「魔法の食堂」主宰の高橋美江氏により、私のヤングケアラー〜障害のある両親の元に生まれて〜」と題し、一時間に亘りなされました。
 午後の分では、代表県連による意見発表が行われ、今年度は大阪府連合会と埼玉県連合会が発表しました。  意見発表を受けて、中村幸恵全国女性部長が総評を行いました。
 終わりに、飯嶋恵全国女性部副部長(東京都連)が、「本年2025年は、日本で普通選挙法案が成立して100年となります。この問題は、本年7月の青年部全国研修会の閉会の辞でも言及されており、この法案は女性の参政権が認められていない中、「普通選挙」と呼ばれたことを問題点として指摘し、日本の女性の社会的地位に関する問題は、先進国の中でも改善の余地があると指摘され続けてきましたが、十分な対応が進んでこなかったことが現状です。このような課題は、単なる思想や立場の問題ではなく、人々の生活や生き方に深く関わる大切なテーマです。
 『子らにはさせまい この思い』という私たちのスローガンは、次世代を担う若い女性達が、より自由で豊かな人生を歩める社会を願う思いも込められています。私たちは全国の会員の皆様と一丸となって、これからも同和問題完全解決のため運動に邁進しましょう」と閉会の辞を述べ、研修会は終了しました。
(令和7年度 女性部全国研修会の詳細は、都連発行機関紙「東京あけぼの」11月号に収録されています)

司会を行う髙木弘美全国女性部副部長

開会の辞を述べる中村幸恵全国女性部長

開催地府連挨拶を述べる山本康嗣京都府連会長

祝辞を述べる松尾信悟全国会長

閉会の辞を述べる飯嶋恵全国女性部副部長

京都テルサ