全日本同和会は、同和問題の早期完全解決に取り組む団体です。

【全国・関東東北ブロック】活動報告

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偏見や思い込みによる差別の解消が急務 令和6年度 女性部全国研修会 開催される

 10月17日、京都市で「令和6年度 女性部全国研修会」が開催され、全国各地から女性部会員や役員が参集し、研修に臨みました。
意見発表では、同和地区での不動産トラブルや、発表者がさまざまな角度から感じた差別について発表がなされ、改めて同和問題が抱える思い込みによる偏見や、差別の根深さを認識しました。

 京都市南区の京都テルサで開催された研修会には、都連から飯嶋女性部長、斉藤副部長をはじめ、多くの女性部員とともに、古賀会長や都連役員が出席しました。
午前十時三十分、髙木弘美全国女性部副部長(大阪府連)の司会で始まった研修会では、中村幸恵女性部全国部長(三重県連会長)が開会の辞を兼ねた挨拶の中で、「同和問題について、まだまだ解決策が見えていないのが現状だということは、皆さんご承知と思いますが、思い込みや偏見で、人を傷つける事象が残念ながら後を絶ちません。国で制定された部落差別解消推進法ですが、罰則規定の無い法律は現状を改善させるまでには至っていないように感じます。同和地区への間違った思い込みや噂話、インターネットから拡散される事象を私たち運動団体は、これを正してゆかなければなりません」とし、人権問題に関し正しい知識を持つことが一人ひとりに求められていると、研修会開催の意義を込めた開会の挨拶を述べました。
 山本康継京都府連会長は開催地府県連会長挨拶で、未だに同和問題をはじめ、女性・子ども・高齢者・障がい者等に関する人権問題は、依然解決には至っておらず、無意識の思い込みや知識不足で悪意は無いが差別へと発展してゆく事例が多く見られることに言及、無意識に比べてしまうことが差別につながることやハラスメントといわれるような事案も散見するとした。その上で、同和問題の完全解決のためには「同和問題を一人でも多くの人たちに正しく理解してもらえるよう、今まで以上に運動及び啓発活動等を拡大させてゆかなくてはならない」と奮起を促しました。
 全国会長挨拶の中で松尾信悟全国会長は、近年はインターネットを使った悪質な部落に関する情報が氾濫し、人権侵害に至る事が頻発する事問題に言及、その上で「動画サイトやSNSにおいて、個人が大きな影響力を持つようになり、閲覧数を稼ぐために事実を捻じ曲げ、誹謗・中傷を無責任に撒き散らすという深刻な状態が野放しになるという、憂慮すべき事態となっています。人権は、人間の尊厳に基づく権利であって、いかなる関係においても尊重されなければなりません」と訴え、同和問題解決のためには、今一度人権教育・人権啓発を推進してゆくことが急務であるとしました。
 全日本同和会は昭和35年の結成以来今日まで「子らにはさせまいこの思い」をスローガンに、運動を推進してきており、これからも創立の原点に立ち返り襟を正し自己の役割と使命感を深く自覚し、同胞一和の精神をもって、運動を継続してゆかなければなりません」と研修会開催の必要性を訴えました。
 来賓紹介、祝電披露に続き、基調講演へと移りました。
 基調講演は、自閉症スペクトラム支援士の堀内祐子氏により、「子どもを理解するする力〜4人の発達障害の子育てから学んだこと〜」と題し、一時間に亘りなされた。
 午後の分では、代表県連による意見発表が行われ、今年度は熊本県連合会と広島県連合会が発表しました。
意見発表を受けて、松岡久代全国女性部副部長(福岡県連)が総評を行いました。松岡副部長は、人は法の下に平等で差別されてはならないとしており、すべての人が自分らしく生きていくことが出来る共生社会を実現するため、自分たちの身近に人知れず苦しんでいる人達がいるかもしれないという意識を持ち、偏見や差別意識を無くし、全ての人が多様な個性を尊重し合い、豊かで安心して生活出来る社会を実現しなくてはならいとともに、差別は人間として恥ずべき行為であり、私たち一人ひとりが差別をしない人にならなければならず、人間愛こそ、が互いの人権を尊重してゆく上で基本となるもので、あらゆる人権問題の解決にとって大切なものです、と結ばれました。
 終わりに、飯嶋恵全国女性部副部長(東京都連)が、「さまざまな差別や偏見がある中、今日の研修内容を踏まえ、私たち全日本同和会女性部として今後どのように活動してゆくべきなのか、本日の研修内容を各都道府県に持ち帰り、地域の実態に則した運動を心がけてゆきたいと思います。そして、全日本同和会のスローガンである『子らにはさせないこの思い』を実現するために、全日本同和会女性部の一員であるという誇りを持ち、同和問題完全解決へ向け、運動を推進してゆきましょう」と閉会の辞を述べ、研修会は終了しました。
(女性部全国研修会の詳細は、都連発行機関紙「東京あけぼの11月号」に収録されています)